Dicerbility Dialogue

Vol.1 収益を生む特例子会社の姿 後編

黒字化することで社内外から反響はありましたか?

社外からは「どうやって実現したのか教えてほしい」という問い合わせや取材がたくさんありました。でも、社内はとくにないですね。今では人事の手続きをするのもみんな楽天ソシオビジネスの社員ですし、収益をあげていて当たり前だと思っているのではないでしょうか。

私は特例子会社は親会社に依存していて当たり前だとは思いません。親会社が「NO」と言っても諦めませんし、絶対に実現させようとします。あくまでもグループ会社のひとつだからだと考えています。ただ、自分ひとりでなんでも決めるのではなく、社内みんなで考えてもらってそれを私が親会社に上げる形にしています。親会社には後ろで支えていただきたいのです。

現在は営業しなくてもお仕事はいただけて、逆にお待ち頂いている状態です。独自事業としては、楽天本社内のコンビニエンスストアを皮切りに、昨年の1月に静岡県の磐田市に大きな人工光型植物工場を建てました。
ようやく軌道に乗り、二子玉川の楽天本社で社員食堂の食材として提供してます。社員は精神障害者を中心に十名強。地元のシニアも雇用し働いてもらっています。さらに、大田区にベーカリーカフェもオープンしました。

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楽天ソシオビジネス 磐田ファクトリー

将来的には、多様な人材を雇用するために独自の事業がもっと必要だと考えています。さまざまな障害を持つ人が私たちの企業の中で活躍していく。さまざまな人が活躍していく中で、成長していく企業でありたい。もっともっといろんな方が働けるように、さまざまな事業を展開する予定です。

多様な人材がいきいきと社会で活躍できる場を外に向けて作っていく。独自事業の充実は今後の特例子会社の取り組むべき課題ですね。「諦めない」「負けず嫌い」とおっしゃる川島さんなら、間違いなく実現させることができるでしょう。今日はありがとうございました!

最新の公式データ1最新データ:2019年12月25日厚生労働省発表「令和元年障害者雇用状況の集計結果」よりによると全国の特例子会社数は517社、障害者の実雇用数は36,775人となっています。年々その数は増えており障害者雇用促進に向けて有効な役割を担っています。一方でSDGs目標82SDGs目標8:指標の一つに「2030年までに、若者や障害者を含むすべての男性および女性の、完全かつ生産的な雇用およびディーセントワーク、ならびに同一労働同一賃金を達成する」があるが掲げるディーセントワーク*の推進など、障害者を取り巻く社会環境や認識は年々変化しています。その中で、特例子会社の在り方については様々な議論が交わされています。
楽天ソシオビジネスは、実業を通じて数々の新しいチャレンジを行ないながら、これからの特例子会社の存在理由や障害就労の在り方などについて、多くのヒントや本質的な問いを投げかけてくれる貴重な企業だと言えるでしょう。