Dicerbility Dialogue

Vol.1 収益を生む特例子会社の姿 前編

具体的にはどのようなことをされてきたんでしょうか。

障害者の社員にも、健常者の社員と同じように一般的な研修に参加できるようにしました。役職につく障害者社員が増えてからは、マネジメントやコーチングスキルといった研修にも参加してもらっています。世間では障害者社員が研修を受ける機会があまり多くない中、当時としては画期的な取り組みでした。

会社の成長に合わせて段階的に増やして行かれたのですね。一方で仕事の内容はどのように拡大していかれたのでしょうか。

仙台で創業した際は在宅勤務の社員がほとんどで、レビューのチェックなどサイトパトロールを主に請け負っていました。東京で採用がはじまってからは、私の前職でも経験していたこともあって、楽天グループ各社でパソコンのトラブルがあった時に対応するコールセンター業務を請け負うようになったんです。その後、グループ社員に貸与するパソコンのキッティング業務、さらに人事の窓口業務というように業務が広がっていきました。今では、総務系ではメールセンターの請負い、マーケティング系ではメルマガ配信設定、バナー作成などの編成業務、RPAやマクロ作成などの開発業務を請け負っています。

専門知識が必要な仕事では、発注側に「本当に障害者でも対応できるのか?」と疑問を持たれることもあります。そんな時、私はいつも「できます」と答えるのですが、実際にできます。仕事の相談を受ける際には、まず私が学んで障害者の方に理解しやすいようにマニュアル化します。そして、そのマニュアルに基づいてレクチャーするという二段階にすることで、専門性の高い業務も請け負うことができるのです。

マニュアルはかならず図解にするようにします。言葉だけでは伝わり方が変わり、齟齬が生まれるからです。「ステップ1はこれ」「ステップ2はこれ」と、誰でも対応できるように整理するようにしています。障害の内容に関わらず、主体的に仕事と向き合う経験をした障害者が大変少ないので、これは必要なことでした。